印刷の方式

印刷の方式

印刷の方式

印刷の種類によって工程はさまざまですが、一般的に目にしている印刷の工程はおおよそ下記の通りです。
大きなカテゴリーとして、プリプレス(PrePress)・プレス(Press)・ポストプレス(PostPress)の3つに大別されます。
  • オフセット印刷(枚葉)
    現在の一般印刷の代表的な印刷方式です。印刷機には、1枚1枚が切り離されている枚葉紙をセットして印刷します。
     版式としては平版印刷で、版材は薄いアルミ板でできているPS版を使うのが一般的ですが、樹脂板や板紙をベースとする版材を使うこともあります。
     オフセット(OFF・SET)とは「付けて離す」といった意味であり、この印刷方式の仕組みをそのまま表しています。
     すなわちオフセット印刷は、版のイメージを直に紙に転写するのではなく、版に付けたインキを一度ブランケットに転写(OFF)してから紙に転写(SET)する間接的な印刷です。
     オフセット枚菓印刷機は、印刷できる紙の寸法、一度に刷れる色数などの違いで大小さまざまな印刷機があります
  • オフセット印刷(輪転)
    印刷機には巻取り紙をセットして印刷するオフセット印刷で、枚葉印刷よりは数倍の高速で連続的に印刷できるので、新聞、折込みチラシなど短時間で大量の部数が必要な印刷に適しています。折りなどの後加工もインラインで行えます。
    ただしセットできる巻取り紙の幅はオフ輪機の機種に制約されます。A判の場合は1,250mm、880mm、625mmの3種類、B判の場合は1,085mm、765mm、383mmの3種類の用紙幅があります。
  • グラビア印刷
    雑誌のグラビアページなどで馴染みのある印刷方式で、版式としては版表面が非印刷部分になる凹版印刷です。
     版は、版胴または版胴に巻きつけるラップアラウンド版の表面をエッチングした状態に作成します。製版方法には、主なものでもコンベンショナル法、網グラビア法、電子彫刻法の3種類があり、印刷目的によって使い分けられています。
     コンベンショナル法は、写真グラビアのような高品位な印刷に適しています。網グラビア法は、新聞の日曜版、雑誌、DMなどの印刷に向いています。菓子や食品を包装するフイルム資材や袋の印刷には電子彫刻法が使われます。
  • フレキソ印刷
    表面が平滑でない被印刷物への印刷に適した印刷方式です。
    版式としては凸版印刷で、版材には柔軟性のある樹脂板やゴム板(フレキシブルレリーフ)が使われます。
     印刷機は専用の輪転機が主で、印刷後にインラインでさまざまな加工ができるようになっています。
     ダンボール、紙袋、牛乳パックなどの紙器、封筒などの印刷が主な用途ですが、シール・ラベル、軟包装等フイルム、建材ほかへの印刷にも使われます。地球環境に優しい水性インキやUVインキが使えるので、グラビアに代わる印刷方式として評価が高まっています。
  • オンデマンド印刷
    パソコンを使って作成したデジタル組版データから、ダイレクトに印刷物を作成する印刷方式です。
     使用する印刷機には、有版デジタル印刷機と無版デジタル印刷機の2種類があり、無版の場合を特にオンデマンド印刷(Print On Demand)と呼んでいます。小ロットの印刷物を短納期で仕上げられるのがオンデマンド印刷の特徴です。
     有版の場合は、ダイレクトイメージングまたはOn Press CTPとも呼ばれるように、印刷機にセットされた版にイメージングをする仕組みになっています。印刷品質はオフセット印刷と似ています。
  • シール印刷
    シール、ラベル、ステッカーのような、物に貼る印刷物の印刷を総称してシール印刷といいます。印刷機は総じて小型ですが、タック紙(剥離紙)や粘着シートに印刷して型で打ち抜くといった後加工が連続的に行えます。版式としては、樹脂版による凸版印刷が一般的です。
  • フォーム印刷
    従来は帳票印刷といわれていた印刷分野は、現在はフォーム印刷と呼ばれています。アウトプット用、インプット用、メーリング用といったビジネスフォーム、および機能性の高い伝票類が主な印刷品目です。
     版式は輪転式の凸版印刷が普通でしたが、最近はオフセット輪転印刷機の利用が主流になっています。印刷と同時に、ミシン目やマージナルパンチ入れ、ナンバー印刷、シートカット、丁合といった加工がインラインで行えるよう工夫されています。