ブックタイトル鳴門塩田絵巻(サンプルページ)

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概要

鳴門塩田絵巻(サンプルページ)

67(7頁に大きな原図掲載)樋 門(ユル場)塩田内に海水を導入し、又は雨水を排出する大切な場所である。撫む養や浜は塩田の地盤が低いため、樋門の据え付けはたいへんな難工事であった。塩田が低いため、外海からの大きな水圧が塩田地盤に作用して激しく海水が浸透する。これを防御し調整することを目的に地盤には粗雑な粘土(上うわ土つち)を五㎝~六㎝張り固めていた。浸しみ浜では奉公人の浜子が三~四人住み込み、毎日一~二回水みずぐるま車を踏み、塩田作業に従事していた。  小こ車ぐるまの排水路  水みずぐるま車は直径二一四㎝・羽根数二四枚・  幅四八㎝  浜溝  塩田  干潮の悪い小潮時には、排水に苦労  した。ときには一週間も水みずぐるま車を踏む  こともあった。休やすみ 戸ど水みずぐるま車のすぐ前に設備があり、しばらく休憩するときや小こ車ぐるまを使用して排水するときに休戸を差し、汲み上げた雨水を休戸の前に流し出す。車の胴干潮の悪いときは、外海の水位が塩田内部よりも高くなるため、水みずぐるま車に水圧が加わり重くなる。水みずぐるま車の下部に車の胴を差し込み水圧を防ぎ、排水をおこなった。  車の両側には大きな板石があり、水みずぐるま車もこの上部に取り付ける。その石には車の円形に合わせて溝があり、車の胴を差し込んで使用する。小こ 車ぐるま水みずぐるま車が重くて使用できなくなると、小こ車ぐるまを据え付けて排水する。小こ車ぐるまは二台又は三台同時に使用した。地盤の低い撫む養や浜は、排水がいかに困難で苦心したか伺い知ることができる。  小車は直径一五〇㎝