ブックタイトル鳴門塩田絵巻(サンプルページ)

ページ
20/24

このページは 鳴門塩田絵巻(サンプルページ) の電子ブックに掲載されている20ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

鳴門塩田絵巻(サンプルページ)

68(8頁に大きな原図掲載)ユル場(樋門)ユルは瓶かめユルと楯たてユルの二種類ある。「瓶かめユル」は、長さ約二間・幅二尺二寸・厚さ一尺二寸の大きな鳴門石(和いずみ泉砂岩)に、半径一尺二寸の穴を掘りあけた石を二枚合わせて排水口をつくり、塩田の浜溝よりも低い位置に据え付ける。セメントのない時代には、この大きな石の継目に真綿を二枚重ねて敷き、水漏れを防ぎ、周囲は粘土で固めてこの上部に石垣を築いて堤防をつくった。楯たてユル(樋門)「楯たてユル」は、長さ一〇尺・幅一尺六寸・厚さ八寸の御み影かげ石いしに、板戸を差し込むための溝を掘りあけた大きな石二枚を五二㎝あけて建てて、一寸板の頑丈な戸を開閉して海水の出入りをおこなう。大切なユル場は、万一の場合に備え、常に予備用のさしくさや戸を一ひトと通り準備してあった。塩田の整地一、まず、塩田面を水平に均ならす。一、排水するため、塩田の周囲に溝をあけ る。一、八間の間隔で、塩田の通りをつくる。一、図のように八間ごとに浜溝をつくる(このことは塩田築造の理想であるが、鳴門市域の塩田は理想と異なるものが多かった。)。浜溝を掘りあけると土砂が崩れるため、溝の腹に粗雑な粘土を張って床とこ面めん(塩田地盤)の沈下を防止する。溝の幅はふつう四尺~五尺あるが、浸しみ浜では一時海水を溜めておく必要があり、浜溝の幅が広い塩田もあった。一、床とこ面めんをつくるには、敷しき砂すな(海岸の銀ぎん砂すな)を一五㎝程度張ってよく均ならし、上うわ土つちを張る。一、上うわ土つち(粗雑な粘土)は、良質なものが明あきのかみ神沖や阿あ波わ井い島しま沖に存在し、四㎝~五㎝の厚さに張り固めて床とこ面めんをつくる。 塩田( 沼ぬ井い)が並んでいるのを「通とおり」と呼んでいる。縦台の通りとか横台の通りといい、樋がある通りを広ひろ通どおりという。 図は二三台の通りが四通りと二二台の通りが四通りあり、合計百八〇台、面積は一町八反歩ある。樋木製の樋型を使って粘土の樋をつくる。四、五日粘土を打ち固めるが、粘土が乾燥すると亀裂が生じるため、割れ目には縄を打ち込み、その上を「つぼごみ」という粘土で塗って、鹹かん水すいのロス(漏瓶ユルさしくさ楯ユル